問2.日々我れ

すきなことをかく

短歌の目(第一期)投稿歌110首

短歌の目・投稿歌110首一覧です。

第0回

1.白|白すぎて消えずに残ってしまいそう だからキリンになってその息

2.チョコ|チョキかパーだけしかださない君が好き スカート揺れて「チヨコレイト」

3.雪|氷河期が来たので明日は常夏の海も凍れり雪かきわけよ

4.あなた|口ずさむしあわせ探すその代わり 噫山のあなたの空遠く

5.板| 黒板の隅に小さく書いてある 二階のトイレ三回ノック

6.瓜|「瓜をほらかわいくすればいいじゃない?」「それってネイル?だったら爪ね」

7.外|外はほら寒いし風も吹いてるし手袋ないし肉まんあるし

8.夜|隣人の猫は出かけた夜はふける か弱く細くないている壁

9.おでん|眠れずに動画漁りをしてたから電車がおでん連呼してゆく

10.卒業|校長は長い話をするだろう 終われば僕は卒業である

第1回

1.雛|寝そべって孵ったばかりの翼竜の雛の皺を数えれば昼

2.苺|デザートのあまい苺に練乳をたっぷりかける父すら許せず

3.夕|覚えある匂いの花の名を知らぬことに気がつき暮れたる夕べ

4.ひとり言|悪いのはわたしじゃなくて妖怪のせい悪いのは、ひとり言い訳

5.揺らぎ|嘘をつくあなたの瞳まっすぐで 正しきわたしは微か、揺らぎ

6.羊|眠るのが下手な羊は柵を越え 夢の国越え 明日の朝へ

7.線|茹でられた卵の殻を剥くように 伝線に指挿せば つめたし

8.バク|よみがえる残り少ない思い出を夜中にバクよ、食べないでくれ

9.年度末|春! 風が吹いてわたしの鼻掠め 置き去りにしてゆく年度末

10.信号|信号を信用してた、信じればすくわれる とも聞かされていた

第2回

1.入|出入りを許した君の骨を噛み 死んだらこのまま埋めてください

2.粉|コーヒーの粉を床にぶちまけて 寝とられ男の月末過ぎぬ

3.新学期|来年の新学期にはまた同じクラスになろうと約束する友

4.フール|フールにはヒーチサンタルもちこめすヒートはんたけきょかせいてすよ

5.摘|鼻摘み者らつままれずつきあい つねりつけられつかまりおつかれ

6.異|子供らはきゃりーぱみゅぱみゅ噛みもせずiphone片手に異邦へ発ちぬ

7.花祭り花祭り 近所の新興宗教は熱狂的に甘茶飲み干す

8.あらたまの|あらたまの飼い主さんでいらっしゃる?ええその猫はアンといいます。

9.届け|届けてもいつも不在の人だからあげた花束ドライフラワー

10.ひとつ|あたたかい手のひとつめたい心してちぶさやさしくにぎって離す

第3回

1. うぐいす|

 「鳴くために必要なのは」

 「愛」

 「外れ!」

 「うぐいす職人、啼け!」

 「ホーホケキョ!」

2. 窓|押せば窓解き放たれて見る雲の文書開けば空より電話

3. 並ぶ|整然と並ぶコンテナ連なりて泰然自若の団地に到る

4. 水|集落で水張る田んぼ一般を美だと思う間違へありて

5. 海|朝焼けに染まれる海はやは肌のあつき血汐のごとく 君解け

6. かめ|よくかめと言われて育った少女です 消化に悪いものも食べます

7. 発情|上野発情念女の乗る列車 恋するカモメにおとこ託して 

8. こい|恋焦れカラメルソースも濃い味になった さあこい 故意の予感さ

9. 茜さす|茜さす日を浴びうれてゆく林檎アイルランドApple Storeで 

10. 虹|「虹彩がひまわりみたいに見えるでしょ」「ひと月後には種ができるよ」

第4回

1.青|狛犬がそっぽむいた寒空はうめの花びら舞うほどに青

2.梅|飛梅や 枝葉重たく身を揺らす もう追いかける必要もなく

3.傘|傘よけてほしくなかった ごめんなさい 言える近さでいてほしかった

4.曲がり角|曲がり角 お地蔵さんは待っていた 足増やせそう、人になれそう

5.しそ|

 しそのろお、かちゃしそのろう

 向かい合う人なく我が子とぎっこんばったん

6.紫陽花|裏切りの男は月末 紫陽花の葉っぱに罪をあずけて放つ

7.つばめ|つばめA「南の国はあったかい」つばめB「いや夏が暑いのだ」

8.袖|世の中ね顔かお金なのよと言うゴキゲンカネゴン振る袖はなし

9. 筍|健やかに天突き破る筍のやうに育つた人は甲高

10.たらちねの|たらちねの母はアルバムめくりつつ父や乳まだあるねと笑う

第5回

1.手帳|来年のことを笑うか 嘘ばかり書かれた手帳を鬼が笑うか

2.花火|アスファルト 下駄の響きに削られて午後の余熱に逃げこむ花火

3.虫| 一寸の虫の魂五分ならば 私のたましい80センチ

4.白|はつはるの冷たさでなく夕立を呼びこむような白のTシャツ

5.アイス|信じてた想像力は、数百円。アイスクリーム ゆるみ、したたる。

6.プール|ワニ園は今日も凪いでるアリゲーター プールの水面ウロコが突く

7.すず|遠回り 見つけたほおずき熱されて すずみたいです 君は敬語で

8.アンタレス|アンタレス 女はひとり涙拭き 一途に赤く燃ゆる星よ

9. 雷|ぶつぶつと手をすりあわす老婆あり 雷鳴だけが轟く晴天

10.ぬばたまの|ぬばたまの夜にうっすら横たわる汗ばむ我れを乾かさむ風

第6回

1.ジャワ|Ver.1.15ニンジャワールドのCSSはbody > div { height: 100%; }

2.くきやか|少年のくきやかに見ゆ短パンの大腿骨のみずみずしさよ

3.蝉|謝謝謝謝謝  感謝が足りぬと怒鳴られて蝉も鳴き止む八月の戦

4.冥|熟れすぎたアボカドごろっところがって 廊下の先に冥き途かな

5.まつり|手をかざす振りの手前三音目 まつり太鼓がふくらんでいる

6.日焼け|日曜日焼けつく路面でカマキリは水を求むるゾンビとなりぬ

7.くちづけ|約束を重ねた分だけくちづけは花ひらくよう静かに離れ

8.風鈴|夕立に追われる街の屋根下でじっと息をひそめる風鈴

9.菊|あとひとつ まっきっきっに染められて少し欠けたる菊の落雁

10.【怪談短歌】|皿数う声はいつしか時告げるアラームのよう 成仏やせん

第7回

1.一錠|せめてこの悲しみがすぐ馴染むよう喉を通れよ水なし一錠

2.おい|フラニーとゾーイもおいたことを知る両腕のパン抱えきれずに

3.ウーパールーパー|重力に押しつぶされた指趾残る不時着陸したウーパールーパー

4.マッチ|メタメタの生にはマッチを投げ入れろ タールのようによく燃えるだろう

5.葉|葉脈が光と化してつつましく羊歯のピアスがゆれるゆられる

6.月|くぐもった音あたたかく今もなおあるとは思えず心臓に月

7.転|原子炉が運転停止したあとに取り替えられた初期のくるぶし

8.舌|その舌で絡めとってよベロリンガ なんなら味蕾を数えてあげる

9.飽き|飽きたてのおもちゃは箱にもしまわれず夏の終わりを持ち越したまま

10.うつせみの|うつせみの割れたる白い背に当てた聴診器のベル冷たくさみし

第8回

1. 上様|お呼び出し申し上げます戸上様 お連れ様とは恋人でした

2.まれ|人々に踏まれ謗られ蔑まれ満月を待つガムだったもの

3.ピアノ|溶け出した蒼いピアノが足元にたまる民主主義との日没

4.星座|右にみっつ左によっつあけられた穴をつないで星座に命ず

5.々|混乱を覚えた羽虫は耳元で々みたいにループしている

6.G|| C | G | Am | Em | F | C | F | G | …(ヨハネのギター途切れて)

7.眠|子守唄聴かせる母の声低く眠れば塩を買いに出される

8.紫|紫の作り方ならゆかりちゃん上手よ赤が少し多めで

9. ひたひた|ひたひたのぶどうジュースがゆれている  触れさせなかった白のブラウス

10.秋の田の|秋の田の頭を垂れし稲穂らは神宿しつつ何を祈らむ

第9回

1. シチュー|混沌を煮込んだシチュー掻き混ぜて鍋の底には御国産まれつ

2. 声|だうだつてよいことばかり投ぐる矢のさうざうしき声遠ざかつてゆけ

3. 羽|此れが羽だつたといふのかきみもまた疑ふことを知らぬ輩だ

4. 信|信ずればうそもまことになりにけむ赤い詐欺師は微笑んでゐる

5. カニ歩き|素戔嗚尊の為行甚だあぢきなしカニ歩きぐらゐやつてみせなよ

6. 蘭|阿蘭陀にかすていらなく英吉利もふらいどぽてとがないのだといふ

7. とり肌|なにひとつ異しきことはなかりけりフライドチキンにとり肌のたつ

8. 霜|月よりも遠き深海漂へば霜凛烈のザラビクニンよ

9. 末|末の世の末の末こそ思はるる命なくしてわれあらざらん

10.ひさかたの|ひさかたのかそけき光 対向のふゆ立つ風に薄められたる

第10回

1. ファー|藍色のベルベット生地やわらかく撫でまわすのも許すのファービー

2. 密|クリスマス・カクタスは吐くその昔密封された世界の息を

3. LED|永遠に不滅です、との宣言をあまねく照らすLED灯

4. グレーゾーン|ゼブラゾーンすり減ってゆきそのあわいグレーゾーンへとほころびてゆく

5. くま|くまがすき、(間違えないで、白黒のよく似たそれにはあくまが宿る)

6. 石|死ぬであろう日付が書かれたクオバディス 石と呼ばれた男が抱きぬ

7. イエス|背の低い少女は祈るロザリオの硬さに声なきイエスを信じ

8. 鐘|鐘の音が遅れつつある秒針をひそかにふくみ寄り添うように

9. 氷|くるしみもとけてゆくのねあたたかい口もと氷一粒つめて

10.降る雪の|降る雪の消ゆるガラスの冷たさの先横たわるDiorのひと

atuihiga tudukanakutemo okaradani okiotukete chihoutosiyori (c)Imada_Natsuki